国立中学受検には、必ずと言っていいほど「作文を書く」という問題が出されます。
出題傾向は学校によってマチマチですが、どれもそれなりの文字数を、自分の考えをうまく表現して書かなきゃいけないという難問。
どう考えても、訓練なしではちょっと難しそうな雰囲気がプンプンとします。
作文力向上のための問題集も多く販売されてはいますが、通信教育もいくつかあります。
今回は「作文力のための通信教育」に絞って、紹介していきたいなと思います。
小学生の作文力向上のための通信教育は何がある?代表的なもの
作文力向上のための「問題集」と「通信教育」
何が違うのかってそれはもう、「先生による添削があるかないか」が一番大きな相違点です。
そして「塾の作文講座」と「通信教育」
何が違うのかというと、「その中学の対策があるかどうか」「添削までのタイムラグがあるかないか」という点。
塾の場合はもちろん、志望校ごとに対応したカリキュラムがありますし、添削までのスピードも速いです。
通信教育ではどうしても一般的な内容になることが多いですし、郵送のやり取りには時間がかかります。
そして気になる価格ですが、作文の通信教育ってけっこう高いです。
中には塾に行っても同じくらいの値段なんじゃない?と思えるようなものも。
ただ、塾にしても通信教育にしても、オプションという形になっていることも多いです。
要は、作文講座だけでは受講できず、メインとなる他の講座も受けなきゃいけないよっていう。
そういうものも含めまして、代表的な作文の通信教育講座をまとめてみたいと思います。
ブンブンどりむ
『ブンブンどりむ』は、小学生向けの作文通信教育。
「声に出して読みたい日本語」で有名な斉藤孝さんが監修している講座です。
通信教育には珍しく、作文だけに特化している講座です。
この講座、何がいいかってまず体験教材が無料で受け取れるところ。
普通の通信教育ならオナジミの体験教材だけど、作文特化型の通信には、実は体験教材ってあんまりないのだ。
体験教材は、子どもの学年のものだけではなく、1年から6年までのすべての教材が入っています。
ボリュームはそんなにないですが、「将来的にどのような課題が出るのか?」というのを知れるのはポイント高いですよね。
そして、同じく体験教材に入っている、受講生の作文。
おそらくは受講生の中でも、特に優秀な子の作文が掲載されているだろうことは想像するに難くないわけですが、それでも。
むちゃくちゃ立派な作文です。
どちらかというと、「論文」よりは「作文」
読書感想文で良い結果を出しそうな雰囲気がただようような、良い文章です。
国立中学に出る問題に直結するとは思わないですが、これだけの文章が書けたら、いろんなものに応用が可能だろうと思いました。
ただ、ネックになるのは値段です。
『ブンブンどりむ』の価格は、
1年生:4950円/毎月
2~6年生:5445円/毎月
12か月一括払いにしても、2年生からの1か月の料金は5000円弱。
この価格帯で作文だけと考えると、どうしても割高感が否めません。
「これなら普通に塾に通えるんじゃない…?」という気すらする。
ただ、これはさすが斎藤先生監修というべきか、「書くのが苦手な子が書きやすいように」というガイドが、とても上手です。
マンガも随所に使われていて、飽きずに書けるようになる仕組みができているように感じます。
ツボにはまった子なら、次の教材が来るのが待ちきれないくらいになるかもしれない。
読書量が飛躍的に伸びるかもしれない、とも思います。
体験教材がわりかしきっちりとしているので、子どもに合うかどうかを確認してみてもいいかもしれません。
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ベネッセ作文・表現力講座
言わずと知れた通信講座の大御所、ベネッセの作文・表現力講座。
進研ゼミ小学講座のオプションとしての位置づけではあるものの、作文・表現力講座のみの受講も可能になっています。
2か月に1度、教材が届くようになっていて、価格は
3190円/一回分
18180円/年一括払い
1回分が2か月分となっているので、一年間の費用を思えば安い。
ですが「2か月に一つの教材」ということについて、ボリューム感に疑問を持つ方もいるのではないかなと思います。
例えば子どもが6年生になってから作文対策を始めようと思っていたら、受検までに受け取れる教材は5回ほど。
それだけで、合格できるレベルまで作文力を向上させることができるのか?と考えると、やはり自宅での親の手が必要なんじゃないかと思います。
ベネッセの作文・表現力講座は、
という流れ。
「6年生の教材に関しては」ということにはなりますが、ベネッセらしく、マンガが多め。
キャラクターもあり、教えてくれる先生と生徒の構図で、その月のテーマを教えてくれます。
レベル感としては、『ブンブンどりむ』よりは少し低めな印象。
例えばリンゴについて書くとき、まずは「イメージのふくらませ方を知ろう」ということで、リンゴの形や感覚、似ているものなどの書き出しをします。
イメージを元に洗い出しメモを作り、洗いだした言葉を使って文を作るという方法。
そこの素地を作ることで、いろいろなテーマに対して書くことができるし、また話題を絞ってまとまった文章になる。
「相手にわかりやすく伝える力」を積み上げる1年間での完成カリキュラムです。
と記載されているように、ゴール地点は「分かりやすい作文」です。
ただ、注目したいのは6年生の夏に届く教材。
データから読み取ったことをもとにして、自分の考えを伝える文章が書ける
というのがテーマになっており、グラフや表からどのようなことを読み取っていけばいいのか、データを根拠とした意見の書き方などが学べます。
これはまさに、国立中学で頻出される分野。
通信教材の中では、探そうと思ってもあまりない形式かなと思うので、やらせてみる価値はあるかもです。
個人的には
・文章を書くのが得意な子向きではない
・4年生や5年生から始めるのなら良いと思う
・6年生から始めるのなら、自宅で親によるプラスアルファが必要
体験教材を受け取れるので、こちらも一度試してみて、子どもとの相性を見てみるのもいいかもしれません。
≫≫進研ゼミ小学講座
Z会作文講座
私立中学を狙っている子も、Z会を使用している子が多いですよね。
通信教材の中では、とびぬけて難易度が高いのも、このZ会ではないでしょうか。
Z会は本科と専科があり、作文コースがあるのは専科。
本科を受講していなくても、専科だけでの受講も可能です。
受講費は
3240円/毎月
3078円/6か月一括払い
2754円/1年一括払い
1回分の費用はベネッセと大差ありませんが、毎月教材があるので1年間の総額は約3万5千円。
書く前段階の準備から具体的な書き方の指導を行い、添削により次につなげていく仕組み。
1か月の量は、1回40分を3回、そして添削問題です。
だいたい週に1回の作文学習となるので、作文力向上のためにはちょうど良いボリュームではないかと思います。
例えば
ぼくが逃げたのは、大きな犬が近寄ってきたから逃げた。
この文章を、前半赤マーカー部分を軸にして直すとどうなるのか、後半青マーカー部分を軸にして直すとどうなるのか。
また、
自転車と自動車は、どちらがすぐれた乗り物だと思いますか?そう考える理由も含めて、あなたの考えを書きましょう。
などの、国立中学で出そうな問題も出てきます。
考えを整理し、論理的に分かりやすく書くための方法の指導もあります。
印象としては、『ブンブンどりむ』『ベネッセ作文・表現力講座』よりも、受検向き。
「心を打つ文章」というよりは「理路整然とした文章」という気がします。
Z会らしく、難易度は少し高そう。
ある程度は、文章を書くことに拒絶反応を持っていない子向きかなと思います。
苦手な子の場合は、親が手を貸しながらという形になりそう。
Z会でも、体験教材を受け取ることができます。
難易度が合っているかどうか、確かめるのもおすすめです。
学研通信講座作文コース
市販の教材を多く販売しているので、なにかと学研教材を手にする機会って多いんですよね。
わが家も、夏休みの予習復習などに、学研教材を使ったこともあります。
学研は市販教材も多いですね!
この作文コースは、学研の通信講座の一つ。
学研のオリジナル教材を使っているこのコース、特徴的なのは
・読書教材と作文教材からなっている
・質問はFAXでいつでもできる
「書くのが苦手な子は読むのも苦手」ということを言う人もいますが、決して的外れではないような気がします。
もちろん当てはまらない子もいますが、活字を読む機会が少なければそれだけ、作文力はつきにくい環境にあるのではないかと思います。
そのための、読書教材。
概要をつかんでメモをしていくことで、内容を読み込む力を養います。
作文教材のほうでもメモを使用するので、読書教材で得たスキルが役立つ仕組みになっているのだと思います。
学研の作文コースは、1週間に30分~1時間ほどの学習。
最初に1~2週間で読書教材を使い、3~4週間目で作文教材と添削問題をするという日程。
ボリュームとしては、ベネッセとZ会の中間くらいではないかと思います。
難易度的には、ベネッセよりも少し高いかなという印象。
文字量が多くキャラクターがあまり登場しないため、勉強感は強いはず。
体験教材はありませんが、学研では資料請求が可能。
より詳しい情報がのっているはずなので、興味のある方はどうぞ。
言葉の森
『日本最大級の作文小論文情報サイト』という文言がトップページに踊る、作文教室とオンラインスクール。
あまり大々的に宣伝をしているわけではないので、初めてその名前を聞くという方も多いかもしれません。
私は子どもの作文教材を調べていて初めて知りました…
国公立中学校の受検対策としての作文も踏まえており、HPを見てみると合格者実績などが掲載されているのも特徴的。
志望校の過去問の傾向に沿った指導も行っているということで、「受検対策」として考えると非常に魅力的な通信講座でもあります。
もっとも他の通信講座と違う点は、毎週、先生からの電話指導がある点。
先生からの10分ほどの電話説明のあと、1時間ほどをかけて作文を書き、郵送。
基本的には次の週の先生からの電話までに、添削された作文が届きます。
その他、毎日の自習として、次の週の課題となる長文の音読や読書などがあげられています。
ボリュームとしては、おそらく多すぎるほどに十分。
国語力の向上による学力アップも望めるはずですが、主要4教科の学習時間とのバランスは、親が組み立ててあげる必要があるのではないかと思います。
気になる費用についてですが
入会金:10800円(家族単位)
小学生月謝:8434円/毎月
受験コースオプション:3240円/毎月
添削が毎週行われるので、1回ごとの添削料金として考えると、例えば『ブンブンどりむ』よりは割安。
ですが、志望校に合わせた指導を行ってもらうためには、毎月3240円のオプション料金が必要です。
直前になれば月謝と合わせて約12000円の費用がかかることは、念頭に入れておいたほうが良いかもしれません。
また、電話指導を携帯電話で受け取る場合は、別途1080円が月額に加算されます。
※料金には増税後の税率が反映されていない可能性があるので、事前に確認してください。
作文の通信講座としては費用は高めで、少し躊躇してしまう気持ちもあるのですが、質の高い指導が受けられるのではないかという気がします。
こちらでは無料体験も行っているので、気になる方はどうぞ。
白藍塾
『頭がいい人、悪い人の話し方』などの著書がある樋口裕一氏が主宰する作文・小論文の専門塾。
小学生向けに設置されている講座は3つあり、
レギュラー講座:年齢別に3コースに分かれていて、高学年は広く社会を扱った出題が行われる。
入試対策講座:小5秋からの受講可能で、公立中高一貫校の作文問題のほか、国立・私立中学の小論文対策を行う。
クラブ講座:季節限定のミニ講座。読書感想文と小論文に分かれる。
それぞれ費用が異なり、受講回数も決まっています。
例えば入試対策講座の場合は6回コースとなっており、継続する場合は別途手続きをする形になります。
非常に本格的な作文塾です!
月一回の提出日に向けての学習時間は、週1日が目安。
週1日作文の学習時間を設けることで、予習、下書き、清書、復習がこなせるとのこと。
国立中学の合格者も多い塾なので、本格的な印象が強いのですが、週1日でなんとかなるのかは疑問。
添削例を見る限り、文章の組み立ては、以前紹介したわが家が自宅学習に使っている問題集と似ているのかなと思いました。
気になる費用についてですが
回数 | 入会金 | 受講費 | 合計 | |
---|---|---|---|---|
レギュラー講座 | 4回 | 5000円 | 20000円 | 25000円 |
入試対策講座 | 6回 | 5000円 | 33000円 | 38000円 |
クラブ講座:読書感想文 | 2回 | ー | クラブ参加費1000円+15000円 | 16000円 |
クラブ講座:小論文 | 3回 | ー | クラブ参加費1000円+15000円 | 16000円 |
「入試対策にもなる」と銘打っているだけに、費用は高め。
それぞれの講座に申し込み締め切り日が設けられているので、事前確認が必須です。
資料請求ができるので、詳しく知りたい場合は頼んでみてもいいかもしれません。
作文力向上のための通信講座のそれぞれの特徴
作文の通信講座は、やはり大手になればなるほど安価で、個人が運営している講座は高め。
ですが質が同じというわけではなく、添削回数や出題問題の傾向などもそれぞれに違います。
あくまでも「国立中学受検対策」として考えるのであれば、その学校の出題傾向に沿った講座を選ぶべきだし、何よりもまず、子どもがやる気を出すような内容でなくてはいけません。
良い教材でも、子どもがやる気にならなければ無意味。
まずは子どもに合っているかどうかが重要な気もします。
そして、親がある程度寄り添って、子どものケアをすることもまた必要。
文章を書く、しかも論理的で評価を得られるであろう分を書くなんて、そもそも多くの子どもたちが好むようなものではありません。
時間に余裕があるのであれば、体験講座などを申し込んでみて、子どもの反応を見てみるのが一番良いかなと思います。
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